ピアノ演奏で腕の痛み

「1週間前から右の肘から手首までがとても痛い」

とM様(50代女性)が来院されました。

だらんと何もしていない状態では大丈夫ですが、手首を少しでも動かしたり、物をつかんだりするときに強い痛みがあるそうです。

また、なぜ痛くなったのか、思い当たる節がないご様子です。

「強い痛み」「原因がわからない痛み」というのは、かなりのストレスを感じるものです。

手首や肘の動き、それに連動する痛み方や痛む箇所を見せていただく限り、腱鞘炎や関節痛、神経痛の類ではないことは、おおよそ見当はつきました。

ですが、断定はできないので、実際に痛い部分を触れさせていただきました。

前腕の筋肉が過剰に張っていて、力を抜いた状態で私が関節を動かすこと(他動運動)では全く痛みがない点から、痛みの原因は筋肉の過緊張だとハッキリわかりました。

そして、なぜ痛みに発展したのか、少しお話を伺ってみました。

すると先日、ご家族との屋外での作業中にかなり腕の力を使ったそうです。

また、M様はピアノ講師兼、演奏者でもありますが、かなりハードな曲を練習されていたことが判明。

おそらくこの2つのことが同時期に重なり、前腕の筋肉が強く張ってこわばってままになっていると感じました。

 

右腕の施術は、肩へのアプローチと併せて行いました。

前腕は、全身から見ればわずかな範囲なので、一見簡単に解決できるように感じられるかもしれません。

ところが、意外に施術時間を要し、決して簡単ではない部位です。

それは2つの理由があります。

・腕橈骨筋、円回内筋など働きが異なる細い筋肉の集合体のため、細かくアプローチする必要がある

・細かな関節の可動域や筋肉の張りを探りながらほぐすので、高い技術力や集中力が必要である

右肩や上腕も併せて、じっくり丁寧に右腕の施術を行いました。

一通り終わった後、手首や指や肘を自由に曲げたり伸ばしたりして頂きました。

「全然痛くない!大丈夫です」と回復を実感いただくことができました。

パソコン作業でも痛くなってしまう方がたまにおられますが、簡単にできる予防法を一つお伝えしておきます。

M様もそうですが、前腕の痛みの多くが、手首から肘の日焼けしやすい部分で発症します。

そして、<手首を甲側に反る(手首の背屈)姿勢を長時間続けたことがその原因>となります。

ですので、手首がなるべく反らないような姿勢をキープしてあげると疲れにくくになります。

レジ打ち、テニス、フライパンを持つ時なども該当することがあります。

デスクワークならば、肘あてクッションの利用もいいですね。

姿勢は背中や首に意識が向きがちですが、手首や肘の姿勢も少し目を配られるのも良いと思います。