「この痛みは冷やすの?温めるの?」問題は、私が施術家になって20年以上途切れません。9年ほど前に似た記事をUPしましたが、改めて取り上げてみます。

以前、数年間毎日腰に冷湿布を貼っている方がおられましたが、腰痛は全く改善されていませんでした。このように残念ながら、痛みの対処法を正確にご存じないまま間違われている方が結構多いのです。

冷湿布を貼っているけど、痛みがあまり変化ないという方はぜひご一読ください。

日本には、それこそ湿布神話みたいなものがあり、<痛い=湿布>という処置がされがちです。

と言っても、いざ強い痛みが起きた場合に自宅でどうしたらいいか分からないですよね。

家に冷湿布があったら、とりあえずはやってしまうと思います。ただ連日冷やして痛みが変わらないのであればそれはすぐさま中止すべきです。

膝の痛みで実際に冷湿布を貼った方の例をご紹介いたします。

膝裏の痛み

K様(70代男性)は左膝の裏側の痛みでお困りでした。歩くとき痛みを感じるのですが、痛くて歩けないほどではないそうです。K様は「痛いから湿布だ」と家にあった冷湿布を毎日貼られていたそうですが、一向に良くならなかったそうです。

こちらはホワイトボードでご説明させていただいた際のモノです。

湿布の正しい使い方

あの冷たくヒンヤリする湿布は、正式には「消炎鎮痛剤」と言います。消炎というのは「炎症を抑える」ことですが、熱感、発赤、腫れがあるなど急な痛みの場合は効果的です。

しかし、血流が悪化して筋肉が硬くこわばって起きる痛みには逆効果です。(注:急な痛みでも炎症ではないこともよくあります)

炎症は、そこの筋組織や関節組織が損傷して熱を持っている状態です。そのために痛いので、湿布で鎮痛できます。しかし、血流が悪化して起きている痛みに、冷やすということは、ある意味余計痛みの原因を増やしているようなものです。

つまり、本末転倒なのです。

膝の場合、どこの箇所が痛いかでそれが炎症か炎症ではないか、ある程度判断できます。K様の場合は、痛い箇所が明らかに筋肉の張りと判断できるものでしたので、冷やすようなことは一切せず、じっくり筋肉を緩めて膝の可動域を戻していく施術をしました。

冷湿布を使ってはいけないケースと使わずに痛みを解消させる方法です。両者は真逆なのはおわかりでしょうか。

「冷湿布→冷やす→筋肉の血流低下→筋肉緊張し本来の働き低下→痛みの原因に」

「ほぐす→緊張した筋肉を緩める→血流が良くなり筋肉の働きが正常→痛みが消える」

施術後、立ち上がって少し歩いていただく際「ずいぶん楽です」と回復を実感していただけました。1週間後に来院されたときは、膝の不調はほとんど気にならなくなっていました。

◆筋肉を緩めて、重心バランスを整えるだけで痛みが起きていた箇所の負荷が減り、痛みが消えるパターン

◆筋肉を収縮させることで起きている痛みの場合、しっかり筋肉を緩めることで、痛みがスッと消えるパターン

K様の場合は両方に該当して、どちらも解決したので、すぐに痛みが消えて楽になりました。

痛みの原因を見極めることが、最短で改善するために欠かせないことです。