M様(40代女性)は、左腕を外側と正面にあげる時に、肩から腕にかけて痛みが出るようになってしまいました。これは、四十肩五十肩の走りです。悪化させてしまうと肩関節周囲炎となり、その後 “本物の” 四十肩五十肩(フローズンショルダー)に移行してしまいます。

「本物の」いうのは、腕を挙げるとき痛いのはコリの延長の軽度なケースも多いからです。世間的にはそういうケースも「四十肩になっちゃってさ」などと同じくくりにされがちですが、雲泥の差があるのです。それくらい「本物の」フローズンショルダーはひどい痛みと生活が不自由となり、大変なのです。

幸いまだ関節の炎症(肩関節周囲炎)はなく、筋肉のコリだけが原因のようです。施術では、腕を挙上する際に働く筋肉(三角筋など)を関連筋と合わせて丁寧にほぐし、肩関節の可動域を緩める施術をすることで、腕をあげるときの痛みはなくなりました。

全身に関節がありますが、形や動き方によるタイプがあります。肩関節と股関節は「臼関節(きゅうかんせつ)」と言い、可動域が人体で一番大きい関節です。膝や肘や指は「曲げる伸ばす」がメインですが、腕はあらゆる方向に動かせるように、比べると一目瞭然ですよね。

しかし、可動域が大きいゆえに、日常生活で動かす方向や範囲がパターン化されがちです。肩こりにより肩甲骨などが硬くなった所へ、バッグの持ち方(いつも同じ側で肩かけ)、寝方(いつも同じ側を下にする)などの条件が加わると、腕を挙げる際の痛みは起きやすくなります。

M様は腕を上げる際、100度くらい(正常は180度)で痛みがありましたが、それ以外の動きでは痛みもなく、比較的すぐに回復する内容でした。最近、少し上げづらく痛みや違和感がある方は、寝るときにぜひ気をつけてください。寝ているときに患部側を下にして寝てしまうと、負荷をかけても朝まで気づかず、着替えるときに強い痛みに悪化することがよくあります。

肩こりが気になる方や、腕がたまに痛くなる方は、カバンや寝方をセルフチェックしてみると良いのではないでしょうか。