初めて来院されたT様(70代)は、左半身に症状が集まっていました。

運動がお好きで習慣化しているのに、痛みが支障になっており「色々調子悪いんだけど良くなりますか?」とご相談頂きました。

左腕の重だるさ・左腰・左股関節・左ふともも・両膝痛(腰から足は歩く時立っているときに痛い)というように、左側に偏っているのですが、内科での診断は「神経痛」と言われたそうです。

確かに、片側の腰~足に痛みがあると、坐骨神経痛などがパッと思いつきます。左半身だと脳もよぎります。

<痛みの原因分析>

しかしここで大事なのは、MRI診断を受けていない状態での「神経痛」が本当に正しいかどうかです。当院の結論は「神経痛の可能性は薄く、筋肉と関節の痛みの可能性大」です。

それは一つ一つの症状を伺い、動きを分析すると分かります。神経痛特有のチクチクズキズキという痛みや急な激痛が走ることが一切ないこと。「ズーンとくる痛み」「鈍痛」が体の姿勢や動かし方により生じることからも分かります。

坐骨神経痛や大腿神経痛も検証しましたが、ハッキリ違うと分かりました。

両膝が変形性膝関節症により曲がったまま、かつ股関節の可動域の悪さも影響し、左腰・左股関節・左ふとももに負担がかかっていました。また左腕(上腕~前腕)の重だるさは、肩甲骨と肩関節の可動域が非常にわるいため、周辺筋肉に痛みがでていました。

今のままですと、痛みが悪化していく可能性が非常に高いので、痛みの原因と施術方針をご説明したところ納得いただけました。

<施術内容>

T様の70代後半というご年齢や膝の変形という点も考慮し、下半身→上半身とお話を伺いながら丁寧に筋肉を緩め、関節の可動域を緩める施術を行いました。

主訴(とてもつらい箇所)が多いため、1回の施術ですべて十分な改善を目標にするには無理があります。まず1回目は、歩いたり運動するために大切な腰・股関節・膝に重点を置き施術を行いました。

<施術後>

施術後立っていただくと「ずいぶん楽です。体がすごく伸びたみたい」と効果を実感。その後2回目、3回目と全体のバランスを考えながら施術を行い「(毎日の生活や運動が)だいぶ楽でいられるようになりました」とご報告頂きました。

膝の変形は元には戻せませんが、それでも痛みを軽減したり、歩きやすくすることは十分可能です。

痛みなく、なるべく自然に姿勢よく生活できるということは、背骨の圧迫骨折を予防・椎間板の変性の予防、ひいては足腰の強化や安定にに直結します。

当院がご高齢の方への施術をする上で、大切にしているポイントです。