初めて来院されたO様(50代女性)は、五十肩と手腕のしびれ他、背中や腰などにも疲労や痛みが慢性化しつつあり、睡眠にも影響が出始めて大変お困りでした。

・左肩五十肩で動きに強い制限と痛みあり

・右腕右手が日中しびれている(1か月前よりチリチリビリビリ)

・背中痛や腰痛を含め全身の疲労感が強い

・眠りが浅く質も低下している

<楽な姿勢がない怖さ>

左肩の五十肩は3か月前からあるそうです。日常生活は工夫して付き合ってきたそうですが、寝る時に五十肩側を下にすると痛いので、反対側を下にしていたら、今度はそちら側の腕や手がしびれるようになってきてしまったそうです。

仰向け寝は背中や腰が苦しいし、うつぶせ寝すると朝首が痛くなってしまうとのこと。つまりどんな姿勢でも楽に眠れない状況です。こういう状況は、少々失礼な言い方かもしれませんが、将棋で言うなら「積んでいる」状態と言えます。

もう「逃げ道がない」状況ということです。人は本来寝る姿勢が一番楽なものですよね。

最初は痛みをかんじない楽な姿勢を探して眠れていたのですが、だんだん、どこ向いても必ず不快を感じるため、逃げ道がなく睡眠に悪影響が出てきてしまっていました。

人は睡眠が低下すると、疲労が取れなくなり、自律神経もハッキリ乱れてきます。どの姿勢でも不快感を感じるので、眠気が勝って寝落ちしたとしても、脳には不快な信号が送られ続けています。

それは交感神経を刺激し、体を回復させるために必要な副交感神経が鈍くなってしまいます。こういう状況にある方は結構見受けられます。

ましてや痛い姿勢をそのまま続けるということは、筋肉などに負担かかっているのを無視するということになり、症状は確実に悪化します。

自律神経失調症になると、消火器系、呼吸器系、免疫力など影響範囲が一気に広がりかねません。こういう状況は長期間そのままにせず、とにかく「早めの改善」がベストです。

<施術方針・施術内容>

「五十肩」「手腕のしびれ」というのは、どちらも決して軽くないご症状です。両方同時に起きることは少ないので2人分の症状があるようなものです。

当然、根本原因にしっかり時間をかけてアプローチしないと、効果を実感していただけません。かといって、背中の痛みや腰痛もあるので、すべてしっかり追いかける施術をすると、それはそれで何が良くなったのか分からない中途半端な状況になりかねません。

もちろん全部しっかり施術するのですが、「優先順位」と「患部にどの程度時間をかけるか」のバランスがとても大切で、長年の経験がとても活きてきます。

O様の健康面を考えると、まずはしっかり熟睡しやすい状況を作り、自律神経のバランスを整えることが大事です。全身の疲労感を下肢、肩や腰、背中などポイントをしっかり抑えつつ、「しびれ」と「五十肩」ではしびれの方が楽な姿勢がないので、しびれをより重点的に施術しました。

腕や手のしびれは、首や肩の張りが強い状態で片側寝で発症した、いわば肩こりの延長線上にある「胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)」でした。

手のしびれも原因は色々考えられますが、O様の場合、首肩の深層筋を丁寧にじっくり緩め、肩や肩甲骨などの関節の可動域を緩めることで、99%解消(当院実績)していきます。

深層筋は丁寧にじっくりほぐさないと痛みを感じやすいため、ある程度施術時間を要しますが、その他様々なポイントを考慮しつつ、1回目の施術は終了です。

<施術効果>

施術直後、手と腕のしびれは7割解消、五十肩は2~3割解消、肩~背中~腰はかなり楽に感じて頂けました。

「しびれは病院か迷ったのですが、まさか1回でここまで楽になるとは思わなかったです。」ととても喜んでくださいました。1回目の施術後にしびれが7割減という結果は、その後の改善の目安にもなりますし、施術内容が正しかったことを意味します。

症状の戻りも想定内でありつつも、手や腕や指のしびれや違和感は4回で完全に消えました。五十肩も強い痛みはだいぶ解消し、可動域もだいぶ広がってきています。着替えもだいぶスムーズになったそうです。

その結果、寝る姿勢の選択肢が増えました。楽に眠れる姿勢が増えたのです。

睡眠の質がかなりアップしたそうで、痛める前よりよく眠れるようになったそうです。O様も一安心ですね。とはいえ、元々ため込んでいたお体のの疲労や張り、歪みも考えますと、まだまだ改善余地はあり、O様も同じお考えでした。

寝る姿勢や寝具の上手な使い方のコツなどをレクチャーさせて頂いております。